クレオ大阪中央研究室長 服部 良子
(専門分野:社会政策、ワーク・ライフ・バランス問題)

困ったときの相談・行動にみる男女差

令和4年度 アンケート調査(速報)

市民の困っていること・生活課題

Withコロナ時代に加え、不安定な国際情勢や50年ぶりともいう物価上昇は、市民にさまざまな生活課題をもたらしています。大阪市では、令和4年9月に市民生活において困っていることの意識・実態調査を行いました。生計や住宅の状況、健康などの生活の基盤となる分野に加え、人間関係、家事・育児や両立などの生活のあらゆる困ったことを想定し、困ったことへの対処も調査をしました。その結果、今困っていることの現状を多角的に「見える化」できたのです。

男女差のない困りごと

困り具合に幅はありますが、男女とも「困っている」と回答した人が半分以上いたのが生計費や住居などの項目でした。そのなかでも、「定年後の生計費」や「賃貸の住居費」の割合が高い結果でした。性別による差異が目立ったのは家事・育児・介護、DVやハラスメント、そして人間関係などの課題です。

意識と行動の男女差

困っていることへの対処について尋ねると、相談先として最も高い割合だったのは、まず家族でした(図表1)。次いで、友人知人となっています。その一方で、「相談したいが誰にも相談できないでいる」とか、「どこに相談したらいいかわからない」市民が20人に1人いることがわかりました。すでにさまざまな相談対応が展開されていますが、継続した相談の周知広報の必要をあらためて痛感する結果です。

さらに興味深い結果があります。相談することは問題の解決を求めての行動です。しかし、相談することが必ず解決をもたらすとは限りません。実際、今回の調査でも「相談しても解決しないと思う」という選択肢を設けたところ、男性の36%、女性の31%がそれを選んでいました(図表2)。しかし、その一方で相談が「解決の手がかりが得られる」とする人も男性の29%、女性の33%いるのです。さらに「解決しなくても気持ちが楽になる」とする女性は48%もいました。今回の調査では、社会の中での相談が果たす役割や機能を確かめることができたといえるのではないでしょうか。

2023年1月号 コンテンツ

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表紙

発行:大阪市市民局ダイバーシティ推進室男女共同参画課 編集:大阪市立男女共同参画センター中央館
指定管理者:大阪市男女共同参画推進事業体 (代表者:(一財)大阪男女いきいき財団)
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