クレオ大阪では、男性のさまざまな悩みや心配ごとの相談に、電話・面接で応じる男性相談窓口を開設しています。「寄せられる相談は、仕事や人間関係のこと、性のことなどさまざまです」と語る男性相談員のお二人。コロナ禍で、特に人とのつながりを持ちにくい今だからこそ、その役割は大きいと話されます。

ーークレオ大阪の男性相談は、全国でもかなり早い段階で設置されたそうですね
クレオ大阪で男性相談の電話・面接窓口が開かれたのは2004年。当時、電話での男性相談は全国に設置され始めていたのですが、面接まで行っていたところは、ほとんどなかったと思います。

立ち上げ当初、男性相談窓口を設けても、利用者は少ないのではないかと言われていました。ところが開設直後から、ずっと電話がかかりっぱなしでした。現在でも、相談時間に電話が途絶えることは、ほとんどありません。

ーーやはりその意義は大きいということですね
そうですね。一般的に男性は、感情を表に出すことが苦手です。子どもの頃から弱音を吐いたり、泣いたりしてはいけないと教えられてきた人が多いからかもしれませんね。でも男性だって人間です。苦しいとき、つらいとき、寂しいとき、弱音を吐いたり泣いたりしたくなるのは自然なこと。自分の気持ちに向き合い、素直に語ることができるような場所でありたいですね。相談の内容は、夫婦やパートナーとの関係の悩み、職場や友人などの人間関係の悩み、セクシュアルマイノリティを含むジェンダーや性についての悩み、DVについての悩みなどさまざま。少しでもよい方向に向かっていただきたいという想いで続けています。

ーーコロナ禍で相談の内容に変化はありましたか?
多くの人が、人と会ったり話したりする機会を奪われ、また閉鎖的な空間の中で自分の居場所に困っている、ということを感じます。数日間、誰とも話をしていないという人、家族を一緒に暮らしているけれど、家にいるのがつらいという人など、「さみしくて電話してきました」という相談も増えています。こんな時代だからこそ、「誰かにちょっと話を聞いてほしい」という気持ちの受け皿の役割も必要だと思っています。

ーー男性だからこそ、気をつけていることはありますか?
一番気を配っていることは、「利用者さんを傷つけない」ということです。特に男性は仕事の現場で、「生産的・建設的にものごとを考え、行動する」ということを求められがちです。そんな社会の風潮に息苦しさを感じ、相談に来られる方は少なくありません。そう考えると、私たち相談員の役割は、「指導」や「命令」をするのではなく、気持ちに寄り添うこと。話に耳を傾けながら一緒に気持ちを整理し、相談者さん自身が自分の本当の気持ちに気づいてもらえるような言葉をかけるようにしています。

男性は自分の感情を出すときに、「怒り」という形で出すことが多いと言われています。「泣くことは恥ずかしいけれど、怒ることは男らしい」などと、子どもの頃から教えられてきた人が多いからかもしれませんね。利用者さんの中にも、時々相談の途中で怒り出す方がいらっしゃいます。「怒り」もその人の感情ですから、そのこと自体は悪いことではありません。ただ、その感情を、外的な要因のせいにしてしまうと、結果として、その方の心の中に傷がずっと残ってしまいます。だからこそ、「傷つけない」という姿勢で話を聞くことが大切なのです。

ーー相談員として、どんな時にやりがいを感じますか?
相談の中で、相手と「心がつながった」と感じる瞬間があります。多くの方は、なかなか初めから本音を話せません。話を聞いていくうちに少しずつ心を開かれて、ある瞬間に「実は…」と、本音が出てくるのです。感情があふれて、涙を流される方もたくさんいらっしゃいます。

相談するときにはもうすでに、自分の中に答えをちゃんと持たれている方も多いのです。にもかかわらず、いろいろな感情や周囲の状況が絡み合って、それに気づくことができない。そこを一つひとつ、糸をほどくように整理して、自分の中の答えにたどり着いた時に、確信を持って前に進んで行かれます。相談員として「やっていてよかった」と思う瞬間です。

ーー相談を受ける中で大切にされていることは?
どんな相談を受けたときにも適切に対応ができるように、相談員の間で研修や勉強会などを開いて学び合っています。特にDVの問題やセクシュアルマイノリティを含むジェンダーや性の問題などの繊細な内容は、相談するのにもかなり勇気がいることと思います。その勇気にちゃんと応えたいという気持ちもあります。
また、相談員の間で、本音で語り合う時間も大切にしています。私たち自身も同じ人間として、いろいろな悩みや心配ごと抱えて生きています。利用者さんと同じように、悩みを持つ人間同士だからこそ、心が響き合うのだと思っています。

ーー最後にメッセージを一言お願いします。
大阪のような都市部では、特に人と人とのつながりが希薄になってきています。そんな中、地域の中に「居場所」を持つことは、ますます大切になってきていると感じます。対人関係が苦手な方もいると思いますが、少しでも悩みや気持ちを話すことができる人間関係をつくっておかれることをおすすめします。相談窓口が不要になるような社会となることが、私たちの一番の願いです。
それでも、つらいと感じた時は一人で抱え込まずに相談してください。

<クレオ編集部より>
男性だって生きづらさを抱えているはず
長引くコロナ禍で、誰もが少なからず、息苦しさを感じながら生きている今の社会。女性の雇用状況や経済的困窮の問題は知られ始めていますが、その陰で、悩み苦しんでいる男性も多いのです。
「男が弱さを見せることは恥」という古い考えを捨てて、その生きづらさを、まずは電話でちょっと話してみませんか?これまで思いもよらなかった考え、知らなかった自分に、気がつくかもしれません。

夫婦関係や身近な人間関係、仕事の悩み、またコロナ禍でのストレスの悩みなどを、男性相談員がお聴きします。お気軽にご相談ください。

電話相談

毎週金曜日 19:00〜21:00
第3日曜日 11:00〜17:00

面接相談

大阪市内在住・在勤・在学の方が対象です。

火~土10:00~20:30
日・祝10:00~16:00

毎週金曜日 19:00〜21:00
第3日曜日 11:00〜17:00

クレオ大阪子育て館
大阪市北区天神橋6丁目4-20 7階

男性相談の事例紹介

寄せられた相談内容についてご紹介します。 10~80歳代の方まで幅広い世代から相談を受けています。

第6回 全国男性相談研修会 開催のご案内

(会場受講&オンライン)

2022年2月27日(日)10:00~16:30 
 男性相談窓口に携わっている方、これから男性相談に携わる予定の方、男性相談に関心のある方を対象に、全国男性相談研修会を開催します。


●会 場 クレオ大阪中央
●人 数 40名、オンライン30名(申込先着順)
●参加費 シンポジウム500円、実践研修3,000円(別途テキスト代2,500円)

スケジュール
【第1部】シンポジウム『つながる男性相談』 10:00~12:00
【第2部】実践研修(分科会) 13:00~15:30
【全体会】15:30~16:30

申込はクレオ大阪 女性総合相談センターまで
TEL.06-6770-7730
FAX.06-6770-7705

はじめましょう!あなたのため、みんなのための、ワーク・ライフ・バランス

 ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)は、長時間労働の是正や多様な働き方の実現などにより、誰もが仕事も生活も充実した暮らしができるように働き方を見直しましょうという取組です。
 この取組により、企業にとっては、従業員の意欲や生産性の向上、女性の活躍推進といったメリットが想定されるとともに、家庭においては、男女ともに家事・育児・介護などへの自発的な参画拡大が期待されます。  普段の生活を振り返り、理想のワーク・ライフ・バランスについて考えてみませんか?

11月はノー残業デー、ワーク・ライフ・バランス推進月間です。

 行政(大阪労働局・大阪府・大阪市等)、経済団体、労働団体、金融機関等で構成する「大阪働き方改革推進会議」では、大阪地域におけるワーク・ライフ・バランスの実現に向けた取組を進めています。

2021年10月号 コンテンツ

P.2-3

P.4

P.5

P.6

P.7

P.8

P.9

P.10-11

表紙

発行:大阪市市民局ダイバーシティ推進室男女共同参画課 編集:大阪市立男女共同参画センター中央館
指定管理者:大阪市男女共同参画推進事業体 (代表者:(一財)大阪男女いきいき財団)
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