旭区の住宅街にあるコミュニティスペース「学びの空間『楽』」は、空き家だった医院兼住宅を改修し、地域住民の学びの場として令和5(2023)年12月にオープンしました。もともとこの空き家は、運営代表の田中かおりさんのご実家だったもの。田中さんに、地域での場づくり、住民のつながりづくりへの思いや工夫についてお話を伺いました。
(学びの空間『楽』代表)昭和48(1973)年生まれ。精神保健福祉士、キャリアコンサルタント、『入門・やさしい日本語』認定講師、防災士。イタリアの中学校で日本文化紹介をした後、多文化共生センター、一般企業、障がい者相談支援センターでの勤務を経て、令和5(2023)年学びの空間『楽』を立ち上げました。時々お芝居をしたり、ピアノを演奏したり・教えたりもしています。
『楽』ホームページ
『楽』インスタグラム
『楽』をオープンした場所は以前、医師である田中さんのお父さんがこの建物で医院を開業しており、地元の人からよく知られた場所でした。田中さんが幼い頃は地域みんなが顔見知りのような環境で、各家庭の家に設置されている非常ベルの点検で近所の大人たちと一緒に地域をまわるお手伝いをしていました。地域でよくお花見などのイベントも開かれていたそうです。しかし、近年は住民同士のつながりが希薄となり、外国籍の方を含めた新しい住民との交流ができていないことを課題と感じるようになりました。
また、障がい者相談支援センター(現在は障がい者基幹相談支援センター(※))に勤務していたときに、障がいのある人たちが地域とつながりづらい現状にあることを知り、地域の多様な人たちが交流できる場を作りたいと思うようになりました。そこで、空き家となっていた実家を活用することを思いつきました。そのような中、大阪市の空家利活用改修補助事業を知り、すでに実践されている場所を訪れて場の運営について学びました。自身も事業に応募したところ、採択され、思い出の詰まったスペースを残しつつ、耐震・改修工事を経て『楽』が完成しました。
(※)障がい者基幹相談支援センター障がいのある方やその家族等からの相談に応じて、福祉サービスの利用援助などを行い、地域における生活を支援する機関。
田中さんは、『楽』を誰でも気軽に訪れることのできる昔ながらの長屋のような場所にしたいと願って活動しています。介護を担う人たちで集まるかいごカフェや、やさしい日本語での防災イベント、子ども向けの宿題ひろばなど、多様な人が集うイベントを開催しています。様々な学校、年齢、国籍の子どもと大人が出会う場を提供することで、地域全体で子どもを見守り、助け合える地域をめざしています。
人が出会い、学ぶ場のために積極的に活動されている田中さん。モットーは「今日動けるなら今日動こう」。気になるイベントなどに自ら足を運び学ぶとともに、思いを周囲に伝えることで、活動の幅はもちろん、仲間の輪を広げています。
これから活動を始めたい女性へのエールをお願いすると、「ほんの小さなことでも今すぐ何か始めてみてください。調べる、本を読むなど、小さな行動が未来につながります。何かしたいけど…という方は、ぜひ『楽』に話しに来てくださいね」と温かいお言葉をくださいました。
田中さんの行動力、そして仲間と共に地域での交流を増やしていこうとする熱い思いが、活動を広げる力だと感じるインタビューとなりました。
発行:大阪市市民局ダイバーシティ推進室男女共同参画課 編集:大阪市立男女共同参画センター中央館指定管理者:大阪市男女共同参画推進事業体 (代表者:(一財)大阪男女いきいき財団) クレオ大阪ホームページ