−どんな人が利用されていますか
　サークルやボランティアグループをつくりたい、特技を生かして講師をしたい、ビジネスを立ち上げたいなど、いろいろなチャレンジをしたい女性が利用されています。ただ何をやるにしても、「みんながやっているから自分もできる」という考えではうまくいきません。何ごとも始めるのは簡単、続けるのは至難。仲間やお客さんに「価値がある」と思ってもらえるモノやサービスを作っていかなければ続きません。そこで私はまず、「自己認識から始めましょう」という話をします。

−自己認識というと？
　「なぜあなたはそれをしたいと思うのか」ということです。ボランティアであれ、ビジネスであれ「ことをおこす」というのは人生の一大イベントです。だからこそ自分がどう考え、これからどう生きていきたいと思うのか。そして自分の知識や経験、技術を社会に役立て、よりよく生きるにはどうすればいいのかを考え抜いてほしいんです。掘り下げていくと、これまでの生い立ちや幼少期の体験が原点ということもよくあります。

−かなり深いところまで話をするんですね
　それがこの拠点のいいところです。活動やビジネスのノウハウを学ぶだけではなく、自分の考えや想いに向き合い、生き方そのものについて考える。一般的な起業相談やキャリア相談などにはないアプローチですね。「最後に頼るのは、自分の知性と感性」と私はよく言うのですが、自分の道は自分で切り拓いていくしかありません。拠点はあくまでもそのバックアップをする場所です。

−利用に予約は不要なんですよね
　「何かにチャレンジしたい」という想いを持つ女性の方なら、誰でも予約なしで自由に来ていただけます。ここではお互いに率直に語り合い、相手の話に真剣に耳を傾け、意見を交わし合います。その中で互いに刺激を受け、気づきがあり、情報交換をしたり励ましあったりという交流が生まれます。時にはお互いの事業の中でコラボされたり、なんてこともあるんですよ。
　現代はSNSで面識のない人とも交流できる時代ではありますが、実際に人と会い、そこで自分の夢や抱負を素直に語れて、それを聞いてもらえる場所って少ないと思いませんか？身近な人にはなかなかには話せないけれど、拠点の仲間はみんな夢を持った同志。だから気兼ねなく、そしてわくわくしながら語り合える、と話される方は多いんですよ。

−スタッフは全員女性なんですね
　女性の利用者にとって、その安心感は大きいでしょう。中には、今の生活から抜け出したい、離婚して自立したいなど、深刻な事情がある方もいらっしゃいます。女性の悩み相談など別の窓口でのサポートを受けながら拠点を利用されている方もいらっしゃいます。トータルでサポートを受けられるのもクレオ大阪のいいところですね。
　支援を必要としている人は、潜在的にまだまだいらっしゃると思っています。そういう方々に、いかにしてこの拠点に足を運んでいただくか、一つの課題ですね。

−起業や活動を始めようとする方へのアドバイスはありますか
　何か事業を始めようとするとき、よくマネジメントやマーケティングを学びなさいといわれると思います。もちろんそれは大切なのですが、その土台となるのがコミュニケーションです。誰かと協働するとき、自分が考えている商品やサービスが、どれほど意味があるモノ・コトなのかということを仲間に理解してもらわなければなりません。動機づけがあってこそ、人は自ら動いてくれるのです。また、商品やサービスを世に送り出すことは、市場とのコミュニケーションともいえますね。
　「何から初めていいか分からない」という方は、まずはビジネスにおけるコミュニケーションの概念を勉強されるといいと思います。クレオ大阪の情報・図書コーナーや、地域の図書館などにも、関連する本はたくさん置いてありますよ。

−最後にメッセージを一言お願いします
　あなたの未来の扉をひらくのは、あなたご自身です。ぜひこの場所で、最初の一歩を踏み出してください。