#つくろう未来のカタチ

 最近よく聞く「SDGs:持続可能な開発目標」。私には関係ない? なんだか難しそう? いえいえ、身近な課題に気づき、社会を変えようと動きだしている若い世代がいるんです。自分らしいファッションを追求し、女性向けの作業着を考案する泉尾工業高校の真田さん。セクシュアルマイノリティ(LGBTs)の居場所づくりを展開する「プライドプロジェクト」のメンバーで高校生のそらさん。SDGs LABO2021 わかものアイデアコンテスト(クレオ大阪西)に出場したお2人に、つくりたい未来のカタチを聞いてみました。

ファッションで伝えたい 私らしさ

泉尾工業高校ファッション工学科 真田 桐羽さん

サステナブルがかっこいい!
 ファッションが大好きです! 高校では織物や染色、縫製など服作りに欠かせない技術を学んでいます。子どもの頃から自分で服を選んだり、作ったりする中で気づいたことがあります。おしゃれとは、ただ流行に合わせた格好や、ハイブランドを着ればいいわけではないということです。
 私が大切にしているのは、サステナブルかどうか。ファストファッションが台頭し、大量生産・大量廃棄が繰り返されています。発展途上国の劣悪な労働環境で作られている場合もあると聞きます。おしゃれを追求する上で、無視できない問題です。環境や人権に配慮したファッションを選ぶのが、かっこいいと思います。だから、古着を活かしたファッションが好きなんです。

好きな装いで自分を好きになる
 毎日着るからこそ、服で自分らしさを表現したいです。お金をかけなくても、自分で染めてみたり、重ね着してみたり…。同じ服でもリメイクや着こなし方次第で、がらりとイメージが変わります。好きな装いをすることで、自分を好きになれるし、新しい自分にも出会えます。
 昨年、同級生と一緒に「ファッション同好会」を立ち上げました。いろんなテーマのスタイリングを撮影して、今後はSNSなどで発信する予定です。

モデルや衣装製作、撮影もファッション工学科の生徒

大人は個性を否定しないで
 高校がある大正区は、ものづくりのまち。工場や塗装の現場で働く女性も増えています。そこで、同好会のメンバーと、女性向けの作業服のデザインを考えました。テーマは”Who I am(私らしさ)”(図参照)。おしゃれと機能性を両立させた作業服なら、働くモチベーションも上がる気がします。これから実際に製作に取り掛かります。
 高校の先生や両親は、私の個性を認め、活動を応援してくれています。「その人らしさ」を周りが否定してしまうと、固定観念に縛られ、他人との違いを差別することにつながるのではないでしょうか。「同じ」じゃなくて「違い」を大切にできたらいいですね。

おしゃれと安全をかなえる作業服
 ベストは鎧をイメージ。キルティング部分はボタンで取り外して、温度調節ができる。パンツは古着のデニム素材。大きなポケットを付けて機能性抜群! 裾部分は普段はフレアスタイル。作業中はボタンを留めて動きやすく。

「男女」だけじゃない 性別は無限大

プライドプロジェクト そらさん

存在を無視された気持ちに・・・
 世界に性別は何種類あると思いますか?答えは“無限大”。1人1人に、それぞれの性別があります。私は、心は男性だけど、女性の体で生まれました。周りにあえてカミングアウトすることはなかったけれど、ある日、「思春期には異性に関心を持つ」と当たり前のように書かれた保健体育の課題が目に留まりました。それって、身体の性? 自分の存在が無視されたようで、ショックでした。勇気を出して、先生やクラスメイトに打ち明けると、みんな自然に受け入れてくれました。それでも、普通に暮らしているだけで、個人の頑張りではどうしようもない苦しさを感じることがあります。制服や銭湯、書類の性別記入欄・・・。二者択一を迫られ、身体の性と心の性、どちらを選ぶべきか悩む場面があるからです。

「多目的トイレ問題」って、知ってる?
 日常生活で避けられないトイレもその一つ。心の性と異なる性別のトイレに入るのは、とてつもない嫌悪感があります。他の利用者とのトラブルを避けるためにも、多目的トイレを選ぶ機会が多いです。でも、今後は使いづらくなりそうです。というのは、国交省が、名称を「バリアフリートイレ」に変更し、利用者を「車いす対応」「乳幼児連れ対応」などと明確化するよう、方針を示したからです。
 「多目的トイレに入って、暴言を吐かれたら・・・」。性別に違和感を持つ友人たちは、不安を口にします。自分に何かできないかと考え、セクシュアルマイノリティの知名度向上を図る「セクマイマーク」のデザインを考えています。公共施設のトイレなどに掲示を呼び掛け、偏見をなくしていきたいです。最終的には、海外のように性別のマークすら付けなくていいのが理想的。性の多様性が浸透すれば、そんな社会に近づくはずです。

SNSから多様性の輪を広げよう
 セクシュアリティの悩みを周りに話せない人にとって、大切な居場所になるのがSNS。プライドプロジェクトの仲間とも、SNSで出会えました。コロナ禍だからこそ、オンラインの強みを活かして、多様性の輪を広げていきます。

Lesbian レズビアン 女性を恋愛や性愛の対象とする女性

Gay ゲイ 男性を恋愛や性愛の対象とする男性

Bisexual バイセクシュアル 恋愛対象が女性にも男性にも向く人

Asexual アセクシュアル 他者に性的欲求が向かない人

 

Transgender トランスジェンダー
 身体の性と心の性が一致せず、身体の性に違和感を持つ人

X-gender Xジェンダー
男女いずれの性自認も持たない人


※上記に挙げたのは、ごく一部。性のあり方は人それぞれで多様性がある。

 セクシュアルマイノリティの生きづらさは、気持ちだけの問題ではありません。法律で守られず、不安を抱えながら暮らしています。LGBTsの存在を特別視するのではなく、誰もが性の当事者だと思ってほしいです。皆さんも「女らしく」「男らしく」と言われ、苦しいと感じることはありませんか? 性って、流動性があるし、バリエーションも豊かなんですよ。


プライドプロジェクト代表 Masaさん

2021年5月号 コンテンツ

P.2-3

P.4-5

P.6

P.7

P.8-9

P.10

P.11

表紙

発行:大阪市市民局ダイバーシティ推進室男女共同参画課 編集:大阪市立男女共同参画センター中央館
指定管理者:大阪市男女共同参画推進事業体 (代表者:(一財)大阪男女いきいき財団)
クレオ大阪ホームページ