NPO法人QWRC(くぉーく)は、LGBTQ(※1)など多様な性を生きる人とその周辺にいる人、そして女性のためのリソースセンターとして、平成15(2003)年4月に設立されました。立ち上げメンバーの一人であり、20年以上にわたり相談や居場所づくりの活動を続ける共同代表の桂木祥子(かつらぎさちこ)さんにお話を伺いました。
(NPO法人QWRC理事、共同代表)平成15(2003)年、大阪にてLGBTQなど多様な性を生きる人々と女性のためのセンターQWRCの立ち上げに関わる。現在、同団体共同代表。10年の精神科勤務を経て、現在も障がい児・者の支援を行うとともに、LGBTQ常設センター「プライドセンター大阪」で勤務。精神保健福祉士。シングルペアレント。猫が好き。
桂木さんは、バイセクシャルでシングルペアレントです。中学生のときに同性を好きになり付き合い始めましたが、周囲の目を気にして同性と付き合っていることを言い出せずにいたそうです。自分のことを話せずに人を避けるようになり、人間関係に悩んだ10代でしたが、20代の頃には自身のセクシュアリティについて話せる仲間とも出会い、「女性のことも好きになる」と親に打ち明けることもできました。
しかし、打ち明けられた家族や周囲の人は相談先がなく、どうしたら良いのか悩んでいるのではと感じ、社会全体がLGBTQをはじめ多様性について理解し、受容しなければならないと考えるようになりました。そのときの気づきは、今の活動にも活かされています。
QWRCでは、メンタル面に悩みのある方のための会や、子の性別や性のあり方に悩む保護者のための会など、様々なテーマ・対象の交流会を開催しています。気軽に集まることができる場が継続してあることが参加者の安心につながり、自分らしく過ごせる大切な居場所となっています。
QWRCは、フェミニズムの視点を重視しながら、多様な性のあり方が当たり前に尊重される社会をめざしています。その活動は誰でも気軽に利用できるように工夫されています。例えば、相談事業では電話や面談だけでなくLINEも活用し、若年層も利用しやすいのが特徴です。また、LGBTQフレンドリーな「計画相談支援(※2)」も行われています。LGBTQ支援団体で医療福祉的支援もおこなっている団体は全国でも珍しいとのこと。臨床心理士のスタッフや、精神保健福祉士(※3)として長年精神科のソーシャルワーカーとしても働いてきた桂木さんの能力と、20年を超える経験が活かされています。
桂木さんは、女性差別とLGBTQ差別は地続きの問題だと感じているそうです。差別と向き合い、人権のために闘ってきた先輩たちの思いを引き継ぎ、すべての人が自分で人生の選択肢を増やし、選んでいけるよう、仲間と手を取り合いながら活動を続けています。性の多様性を尊重することは、他の人たちを尊重することにもつながります。そして、身近な人を大切にすることがより良い社会につながると話してくださいました。
最後に、活動を始めたい女性へのエールも伺いました。「自分の経験したことを原動力に発信できることは強みで、社会を変えていける力になります。仲間、身近な人を大切に、思いを受け止めつつ進んでいってくださいね」。個性豊かなメンバーの思いを尊重し、協調しながら、しなやかに活動を続ける桂木さん。人を大切にした丁寧な関係づくりが活動の秘訣と教えていただきました。
(※1)LGBTQ: L=レズビアン(女性同性愛者=女性として女性を好きになる人) G=ゲイ(男性同性愛者=男性として男性を好きになる人) B=バイセクシュアル(両性愛者=異性を好きになることもあれば、同性を好きになることもある人) T=トランスジェンダー(出生時に割り当てられた性別とは違う性別で生きる人、生きたいと望む人) Q=クエスチョニング、クィア(性的指向や性自認が明確でない人)など、性的少数者の総称 (※2)計画相談支援:障がいのある方や難病の方に対して福祉のサービス計画を立てるサービス(※3)精神保健福祉士:心に病気や障がいを持つ人の社会復帰や生活支援を行う国家資格の専門職
発行:大阪市市民局ダイバーシティ推進室男女共同参画課 編集:大阪市立男女共同参画センター中央館指定管理者:大阪市男女共同参画推進事業体 (代表者:(一財)大阪男女いきいき財団) クレオ大阪ホームページ