令和8(2026)年3月に「大阪市男女共同参画基本計画~第4次大阪市男女きらめき計画〜」が策定されました。この計画は、「男女共同参画社会基本法」および「大阪市男女共同参画推進条例」に基づき策定される計画です。この計画にはどのような思いが込められ、私たちの暮らしとどのようにつながっているのか、計画の策定に関わった大阪市男女共同参画審議会会長の朴木佳緒留さんにお話を伺いました。

活動の原点は「なぜ?」という問いから

ー男女共同参画というテーマに関わるきっかけを教えてください。

 私の研究者としての出発点は、家庭科がどのように生まれ、形作られてきたのかをたどる研究でした。教育基本法では男女の教育機会均等が示されているにも関わらず、かつて家庭科は女子生徒のみ必修とされていたことに強い疑問を抱いたことが研究のきっかけでした。昭和60(1985)年の女性差別撤廃条約批准を契機として、平成元(1989)年には学習指導要領が改訂され、家庭科が男女共修になったことにより、1970年代半ばから取り組んできた研究も一つの節目を迎えます。その後は、神戸大学の教員として社会教育やジェンダー文化学習論に取り組む傍ら、阪神間のいくつかの男女共同参画センターの前身である女性センターの立ち上げにも携わりました。また阪神・淡路大震災では、被災地での女性の生活再建に関する課題調査にも取り組みました。これらの経験は、私にとってジェンダーの課題を社会構造の中で捉え直す重要な契機となっています。「男女共同参画」という言葉は、1990年代末から使われ始め、法律の整備とともに各自治体で施策が進んできました。それでも未だに家庭や職場、地域社会など様々な場面で多くの人が困難に直面しています。男女共同参画は時代とともに形を変えながら、私たちの生き方に関わり続ける重要なテーマだと思っています。

すべての人に届く計画へ

ー今年(令和8年)の3月に、新たな「大阪市男女共同参画基本計画~第4次大阪市男女きらめき計画〜」が策定されました。策定に関わる中で大切にされていたことをお聞かせください。

  大阪市では、男女共同参画を推進するための基本計画として、平成18(2006)年から「大阪市男女きらめき計画」を策定し取組を進めています。私自身も平成29(2017)年に大阪市の審議会委員となり、この計画づくりに関わる機会をいただき、令和3(2021)年からは、会長として答申をまとめる立場を担いました。計画の策定にあたっては幅広い視点から検討が行われますが、今回の計画では、とりわけ若い世代や男性にどう伝えていくか、また、働き方や子育て・介護との両立、DVやハラスメントなど、生活の中で直面している課題をいかに反映させるかについて丁寧な議論を重ねました。男女共同参画の施策は、生活の様々な場面に関わるものです。しかし特定の人のための取組であるかのように受け止められてしまい、自分ごととして認識されにくいという課題があります。そのため、わかりにくい表現を避け、できるだけやさしい言葉を使うことを心がけました。また、「女性活躍」という言葉のめざすものが、企業で活躍する女性管理職だけをさすものと受け止められないよう意識しました。働いているかどうか、国籍の違いや障がいの有無に関わらず、男女共同参画は多様な立場の人々に関わる施策であるということを知っていただきたいです。男性の中にも、自分は男女共同参画施策の当事者でないと感じている方も少なくありません。例えばDVの被害にあった男性が、相談先を知らずに一人で抱え込んでしまうケースや、育児や介護の支援制度が自分にも関係するものだと気づかず、利用をためらってしまうことがあります。男女共同参画施策はこうした現実の中で、誰もが安心して暮らせる社会を支える取組です。目に見える変化がすぐに現れるものではありませんが、「男女共同参画」という言葉やその考え方をどこかで聞いたことがある、と感じる機会を増やしていくことが、一人ひとりの気づきにつながり、やがて社会の変化へと結びついていくと考えています。

制度を暮らしの力に

ー読者に向けてメッセージをお願いします。

 社会の変化とともに、育児や介護と仕事の両立を支える制度の充実や、DV被害者への支援体制の強化など、制度や施策は少しずつ着実に整ってきました。しかしそれが十分に知られ活用されているとは言い切れない現状もあります。大切なのは制度が「ある」ということだけでなく「どう使えるのか」、「どんな支援が受けられるのか」を丁寧に伝え拡げていくことです。日常生活の中で「おかしいな」、「なぜだろう」と感じることがあれば、ぜひ、その小さな“ひっかかり”を見過ごさず、誰かと話してみてほしいと思います。そうした一つひとつの声が、社会をより良くしていく力になります。ぜひ計画を、自分らしく生きるためのヒントとして役立ててほしいです。

朴木 佳緒留さん
(神戸大学名誉教授)

島根県生まれ。平成8(1996)年神戸大学発達科学部教授。平成19(2007)年神戸大学男女共同参画推進室長。平成22(2010)年神戸大学大学院人間発達環境学研究科長・発達科学部長。平成25(2013)年神戸大学学長補佐。大阪府、兵庫県、神戸市、大阪市などの男女共同参画審議会委員を歴任。主著書『「ジェンダー文化と学習」理論と方法』(平成8(1996)年明治図書)、『労働の場のエンパワメント』(平成25(2013)年東洋館出版社(共編著))など。

大阪市男女共同参画基本計画〜第4次大阪市男女きらめき計画〜

 大阪市では、男女共同参画推進条例に基づき、男女共同参画施策の総合的かつ計画的な推進を図ってきました。これまでの取組により、社会の多くの分野で男女共同参画の視点をふまえた取組が広がっており、一定の成果がみられるものの、男女間の賃金格差の問題や政策・方針決定過程への女性参画の低さ、いまだに残る固定的な性別役割分担意識や性別による無意識の思い込み、身体的DVだけでなく、経済的・社会的DVの問題など、いまだ解消に向けて取組が必要な課題が残っております。こうした状況を踏まえ、さらなる施策の推進を図るため、令和8(2026)年3月に「第4次大阪市男女きらめき計画」を策定しました。

<計画期間> 令和8年度~令和12年度 (5年間)

〈計画の位置づけ〉

●男女共同参画推進条例に基づく「男女共同参画の推進に関する基本的な計画」として策定
〈第1次計画〉平成18年度~27年度 〈第2次計画〉平成28年度~令和2年度 〈第3次計画〉令和3年度~7年度
●女性活躍推進法に基づく市町村推進計画、DV防止法に基づく市町村基本計画としても位置付け
●困難な問題を抱える女性への支援に関する法律に基づく本市基本計画もふまえて策定

〈計画によりめざす社会〉

だれもが個人としての尊厳が重んじられ、個々の多様性を尊重し合い、安全に安心して暮らせる社会

だれもが社会の対等な構成員として、職場・家庭・地域など、あらゆる分野の活動に参画し、共に責任を担える社会

性別の違いで制限されることなく多様な活動の機会を自らの意思で選択し、個性と能力を発揮しながら、自分らしく活躍できる社会

個々の多様性が活かされ、一人ひとりの幸せとまちの活性化が相乗効果となり、好循環で発展し続ける活気あふれる社会

〈施策の基本方針と方向〉

2026年5月号 コンテンツ

P.2-3

P.4

P.5

P.5

P.6

P.7

P.8-9

P.10-11

表紙

発行:大阪市市民局ダイバーシティ推進室男女共同参画課 編集:大阪市立男女共同参画センター中央館
指定管理者:大阪市男女共同参画推進事業体 (代表者:(一財)大阪男女いきいき財団)
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