絵画などのアートを病院などの医療機関に取り入れ、患者や医療者の心を癒し活力を添える「ホスピタルアート」。医療の空間に癒しやコミュニケーションを届けるこの取組は、海外では広く知られるもので、近年は国内でも導入する機関が増えています。

今回は、色やアートの力で医療現場と関わる「ひといろプロジェクト」代表の川西真寿実さんにお話を伺いました。川西さんは平成30(2018)年にも「チャレンジの先輩に聞く!活動の始め方・続け方のヒント」に登場いただきました(※)。平成29(2017)年の団体設立からもうすぐ10周年を迎える今、これからの活動の展開や目標について、改めてお話を伺いました。

(※)平成30(2018)年掲載記事「チャレンジの先輩に聞く!活動の始め方・続け方のヒントvol.13」

令和8(2026)年3月22日〜28日に開催されたパープルデー大阪2026の展示にて 主催:パープルデー大阪 協力:あべのハルカス近鉄本店「縁活」プロジェクト

川西 真寿実さん

(ひといろプロジェクト 代表/ホスピタルアート プランナー・ディレクター)
自身の看病や介護経験を通じて、アートや色彩が医療環境や心理に与える影響を実感。平成29(2017)年に「ひといろプロジェクト」を発足。アーティストと協働して患者様や家族との共同制作や院外での企画展を行う。様々な病院での制作は約60事例、入院中の患者様などの参加数は累計約4,500名。医療現場へアートを通じた関わりを届ける活動を継続中。

ひといろプロジェクト
ホームページ

インスタグラム

アート活動で医療現場に笑顔を

 前回の取材では、病気や見た目に特性のある方々に、色彩を活用したケアを行い自己肯定感を高める「リハビリカラー®」に取り組んでいた川西さん。患者さんたちの生の声を聞く中で、患者さん一人ひとりの個性や表現に、現代アートの活動でも寄り添いたいと考えるようになり、現在はホスピタルアートを中心に活動されています。病院内で、患者さんやそのご家族、医療従事者がアーティストと共に一つの作品を作り上げる過程は、立場を超えたフラットなコミュニケーションの場づくりだけでなく、「その人がその場にいる“今”の証し」となります。一人ひとりの存在を肯定し、その人自身が持つ自分らしい表現で時間を共有できるのが魅力だと話してくださいました。病気と向き合う方々に、アートや色に触れる体験を「大切でいいものだ」と感じてもらえることを願い活動を続けておられます。

“対話”でつむぐ信頼関係

 これまで様々な医療機関で、約60件のホスピタルアートの企画と制作・展示を行ってきた川西さん。この3月、あべのハルカス近鉄本店などで行われた、てんかんの啓発イベント「パープルデー大阪2026」にも参画されました。イベントでは、患者さんやご家族、支援者、そして有志で集まってくれた中高生と共に作った作品が展示されました。多くの方が温かいメッセージを寄せてくださったことについて、「通りがかりでその作品を見た人も何かを感じて理解が広がり、つながりが生まれたらいいな」と話してくださいました。

  活動を広げるために心がけていることを伺うと、「信頼関係を構築することが大切です」と、すかさず答えてくださいました。丁寧に対話を重ねて、想いや考えを尊重しつつ作品を作っていくことで信頼関係を構築する。また、一緒に制作した内容を可能な範囲で公開することが第三者からの信頼や、新たな活動につながっていくとのことです。

想いを胸に次のステップへ!

 「ひといろプロジェクト」の設立からもうすぐ10周年。川西さんは、この節目にこれまでの活動や想いを本にまとめたいと計画しています。本を通じて、より多くの人々の共感を呼び、想いが受け継がれるのではないでしょうか。

 「活動を続ける中で、一緒に作品を作り上げた人たちの笑顔が自身の癒しでもあり、セルフケアになっている」とのこと。活動継続の何よりのコツは、“想い”なのではないでしょうか。ご自身の想いを胸に真摯に活動を続ける川西さん。次の10年に向けてますます羽ばたかれることでしょう。

 
ホスピタルアートのワークショップの様子。アートと色に触れる楽しい時間です。

2026年5月号 コンテンツ

P.2-3

P.4

P.5

P.5

P.6

P.7

P.8-9

P.10-11

表紙

発行:大阪市市民局ダイバーシティ推進室男女共同参画課 編集:大阪市立男女共同参画センター中央館
指定管理者:大阪市男女共同参画推進事業体 (代表者:(一財)大阪男女いきいき財団)
クレオ大阪ホームページ