特集

少女・若い女性に寄り添う取組み​

困難を抱える若年女性への支援と現状と課題

一般社団法人若草プロジェクト
代表呼びかけ人 村木 厚子さん

 村木さんは厚生労働省に在職中に郵便不正事件で有印公文書偽造等の罪に問われ、逮捕・起訴されましたが、無罪が確定し復職。その後、厚生労働事務次官を務めました。
 退官後は津田塾大学客員教授を務めるほか、累犯障がい者を支援する 『共生社会を創る愛の基金』や、生きづらさを抱える若年女性を支援する『若草プロジェクト』など、ジェンダー・ダイバーシティの活動に力を注がれています。今回は若草プロジェクトでの取組をご紹介いただきます。

 若草プロジェクトでは、困難を抱えた少女たちや若い女性を支援するため、LINE相談や「若草ハウス」「まちなか保健室」等で、少女たちを直接支援しています。また「若草メディカルサポート基金」「若草×服の“チカラ”プロジェクト」等では、全国の施設と企業をつないだり、連続研修会等、多様な活動を展開しています。
 貧困、虐待、ネグレクト、DV、いじめ、性的搾取、薬物依存、育児ノイローゼ等によって苦しむ少女・若年女性(以下「少女たち」)の支援を右の3つを柱に行っています。

つなぐ
少女たちと支援者をつなぐ、支援者同士を つなぐ、企業や社会と支援の現場をつなぐ

まなぶ
少女たちに接する機会のある人が、 その実状を学び、「信頼される大人」になる

ひろめる
社会全体の認知度を高め、また、少女たちに 相談できる場所があることを知ってもらう

4年間の活動から見えてきた少女たちの現状と課題

SOSを出せる場所がない SOSを出す、相談するという行為は、少女たちにとっていかにハードルが高いかを支援者として実感しています。LINE相談でも、少女たちが抱えている問題を語りだすまで長い時間がかかります。そのため、もっと敷居の低い場所として、秋葉原にアロマや占い等も取り入れ、気軽に立ち寄れる「まちなか保健室」を2020年に開室しました。 東京秋葉原にある「まちなか保健室」 制度の狭間にあり支援が脆弱 この分野の現行の法律として、児童福祉法、DV防止法、売春防止法等がありますが、児童福祉法は原則18歳未満が、DV防止法は配偶者等からの暴力の被害者が、売春防止法は売春のおそれのある女性が対象です。一方、私たちのもとを訪れる少女は、10代後半から20代前半の、どの法律の対象にもならないケースが中心です。公的な資金援助はほとんどなく、厳しい運営を迫られています。 行政も重い腰を上げ、厚生労働省の「困難な問題を抱える女性への支援のあり方に関する検討会」から中間まとめが出されました(2019年10月)。縦割りでない総合的な「困難を抱えた女性支援」のための法律の制定の可能性が見えてきましたが、まだ、その機運は十分に高まっていません。 支援対象となる少女たちは、「問題行動のある子」といった冷たい視線を浴びることも多く、特に男性の理解を得ることが難しいように感じます。 新型コロナウイルス感染が 弱者に大きく影響   コロナ危機により相談は急増しました。多くの若年女性がコロナの打撃が大きい非正規雇用、サービス業に従事しており、職を失う、あるいは大幅な収入減となって困窮しています。また、ステイホームの中で、家庭内での虐待等のリスクも高まっています。この問題への取組の強化が急務です 

課題を踏まえた今後の活動の方向

「つなぎ先」とのネットワークの形成
 安心できる相談窓口とその後の居場所の確保等は基本です。私たちもこれまでの支援を充実させるとともに、全国からの相談に対応するために、面談、同行、シェルターの提供等を行うことができる支援者とつながり、連携・協働を強めていきたいと思っています。モデル事業として始めた保健室で私たちが得たノウハウ等も全国に提供していきたいと考えています。 

困難を抱えた若年女性の 支援のための法律の制定
 困難を抱えた女性の支援を強化するためには、この分野をトータルにカバーする法律が必要です。法律の制定に向けて同じ志を持つ多くの関係者とともに、しっかりと政治に訴えていきたいと思います。

企業等を巻き込んだ 支援ネットワークの強化
 公的な支援制度の有無にかかわらず、民間の支援体制の強化は必要です。特に、少女たちの支援は、少女たちが主体的に自分の人生を選び取っていくことを支援することであるため、「食べること」「着ること」「学ぶこと」「住むこと」「仕事に就くこと」等々の多分野での支援が欠かせません。こうしたことを応援できる「理解者」「支援者」を増やし、特に、大きな組織力、資金力、人材力を持つ企業を巻き込みたいと考えています。このため、全国の施設と企業をつなぐデジタル・プラットホーム「TsunAが~る」をスタートさせました。

社会の理解を促進
 少女たちの抱える問題の理解を促進するため、また、ウィズコロナの時代になっても広報活動や研修活動等を後退させないため、2020年12月からオンラインで支援者向けに研修等を提供する「若草チャンネル」を開始しました。

 YOUTUBE若草チャンネル

 私たちは、少女たちの直接支援のみならず、同じ志を持つ支援施設の皆様に対する応援も強化して、少女たちの支援を強化したいと思っております。皆さまと様々な形で連携できることを心から願っています。

 

■関連セミナーのご案内
2021年2月28日(日)「傷ついた少女たちの現状と課題」
講師:牧田 史さん(若草プロジェクト理事) 会場:クレオ大阪中央
少女たちとのつながりを絶やさないためにどのような支援が必要かを考えます。

少女たちのSOSを受け止める居場所「女の子のためのクレオ保健室」に相談しませんか。

 ダイエットや月経等のからだの悩み、家族との関係、いじめや異性との関係・デートDVなど、少女たちの悩みを気軽に話せる場です。デートDVや治療が必要な場合など、問題が深刻な場合は、女性総合相談センターの専門相談や病院、各種連携機関につなげます。

20代〜30代の助産師資格を持つ女性スタッフがお聴きします

開室時間
毎月第3土曜日15:30~18:30

LINE相談
「女の子のためのクレオ保健室」に友だち登録すると相談できます。
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来室相談(場所:クレオ大阪中央)
 学校の保健室のように、気軽に立ち寄って話をすることが できます。場所はクレオ大阪中央4階。予約不要。時間内の 入退室は自由です。

2021年2月号 コンテンツ

P.2-3

P.2-3

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P.5

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P.7

P.8

P.9

P.10

P.11

裏表紙

P.5

P.7

裏表紙

発行:大阪市市民局ダイバーシティ推進室男女共同参画課 編集:大阪市立男女共同参画センター中央館
指定管理者:大阪市男女共同参画推進事業体 (代表者:(一財)大阪市男女共同参画のまち創生協会)
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