我が国では、5年に1度、施策の基本的な方向性や成果目標などを示す「男女共同参画基本計画」を策定するとともに、毎年6月を目途に、政府全体として当該年度及び翌年度に重点的に取り組む事項を「女性版骨太の方針(女性活躍・男女共同参画の重点方針)」として決定しています。本年も6月13日に全閣僚からなる「すべての女性が輝く社会づくり本部・男女共同参画推進本部合同会議」を開催し、「女性版骨太の方針2023」を決定しました。今回は、本方針の概要をご紹介します。 我が国の男女共同参画の現状は、いわゆる「М字カーブ」※1の問題は解消に向かい、女性役員数なども増加しているものの、国際的に見て立ち遅れています。特に、出産を契機に女性が非正規雇用化する、いわゆる「L字カーブ」※2(図1)の存在に象徴されるように、ライフイベントの際にキャリア形成との二者択一を迫られるのは多くが女性であり、その背景には、長時間労働を中心とした労働慣行や女性の家事・育児等の無償労働時間の偏り、それらの根底にある固定的な性別役割分担意識など、構造的な課題が存在します。 こうした構造的な課題の解消に向けては、従来よりも踏み込んだ施策を講じることが不可欠であり、女性活躍の機運醸成、キャリア形成を支える環境づくりを両輪で進めていく必要があります。このため、「女性版骨太の方針2023」では、全ての人が生きがいを感じられ、多様性が尊重される、持続的な社会の実現のため、3つの重点事項について取組を進めます。
社会全体で女性活躍の機運を醸成し、多様性を確保していくことは、男女ともに自らの個性と能力を最大限に発揮できる社会の実現のために不可欠ですが、我が国の女性役員比率について、プライム市場※3においても女性役員がいない企業が約2割に上る(図2)など、未だ低い水準にあります。このため、日本を代表するプライム市場上場企業が「令和12年までに女性役員比率を30%以上とすること」をめざし、「令和7年を目途に女性役員を1名以上選任するよう努める」とする数値目標の設定や、これらの目標を達成するための行動計画の策定を推奨します。 あわせて、女性登用のパイプラインの構築に向けた取組の支援、さらにはロールモデルとなる女性起業家の創出・育成支援のため、政府機関と民間が集中支援を行うプログラム(J-Startup)において、女性起業家の割合を20%以上とすることをめざすことなどを盛り込んでいます。
J-Startup 情報
※1:M字カーブ 女性の労働率(15歳以上人口に占める労働力人口(就業者+完全失業者)の割合)について、結婚・出産期に当たる年代に一旦低下し、育児が落ち着いた時期に再び上昇する、「M字」状のカーブを描くこと。
※2:L字カーブ 女性の正規雇用比率を年齢階層別に線グラフで示したとき、20代後半で50%を超えてピークに達した後は減少を続け、曲線がアルファベットの「L字」状に右肩下がりで低下していく現象のこと。
※3:プライム市場 東京証券取引所は令和4年4月から「プライム市場」「スタンダード市場」「グロース市場」の新市場区分を導入。プライム市場は3市場のうち、最上位の市場
男女が家事・育児等を分担して、ともにライフイベントとキャリア形成を両立できる環境づくりに向けて、また、女性に多い非正規雇用労働者や経済的に厳しいひとり親世帯の現状等を踏まえ、長時間労働慣行の是正など多様で柔軟な働き方の推進や女性デジタル人材の育成のためのリスキリングの環境を整備します。また、地域のニーズに応じた女性活躍を支える各地の男女共同参画センターの機能強化を図るとともに、独立行政法人国立女性教育会館(NWEC)による各センターへのバックアップの強化等を図るため、同法人の所管の内閣府への移管や、同法人及び各地のセンターの機能強化を図るための所要の法案について、令和6年通常国会への提出をめざすこと等を盛り込んでいます。
先般成立した配偶者暴力防止法改正法の円滑な施行(令和6年4月)に向けた環境整備等に取り組みます。令和5年一部改正法情報については、右記の通りです。 また、被害が潜在化・深刻化しやすいこどもを始め、多様な被害者がためらうことなく相談できるよう相談先等の周知を徹底し、「性犯罪・性暴力対策の更なる強化の方針」等に基づく施策を着実に実行します。さらには、困難な問題を抱える女性への支援、「女性の健康」ナショナルセンターの創設や事業主健診の充実、フェムテックの利活用、生理休暇制度の普及促進、女性アスリートが抱える健康課題等の取り組みなど生涯にわたる健康への支援等も盛り込んでいます。 このほか、第5次男女共同参画基本計画に掲げられた女性の登用目標達成に向けた、科学技術・学術、防災など各分野における取組を盛り込んでいます。 今回策定した女性版骨太の方針に基づき、関係府省一体となって取り組みを進めてまいります。より詳細な考え方や具体策については内閣府男女共同参画局のホームぺージにおいて掲載しておりますので下記QRコードよりご覧ください。
1.保護命令制度の拡充・保護命令違反の厳罰化 ・接近禁止命令等を申し立てることができる被害者の範囲の拡大 ・接近禁止命令等の期間の伸長 ・電話等禁止命令の対象行為の追加 等
2.基本方針・都道府県基本計画の記載事項の拡充 (1)被害者の自立支援のための施策 (2)国・地方公共団体・民間団体の連携・協力
3.協議会の法定化
配偶者暴力防止法の 令和5年一部改正法情報
「女性版骨太の方針2023」 (女性活躍・男女共同参画の重点方針2023)◯原案・概要◯本文
すべての女性が輝く社会づくり本部
発行:大阪市市民局ダイバーシティ推進室男女共同参画課 編集:大阪市立男女共同参画センター中央館指定管理者:大阪市男女共同参画推進事業体 (代表者:(一財)大阪男女いきいき財団) クレオ大阪ホームページ