テレビ報道カメラマンから主夫になり2児を育てる。NPO法人ファザーリング・ジャパン関西初代理事長として父親の子育てを応援する活動を始める。保育園園長を務めた後、マジックパパとして独立。趣味はSFと子どもとの遊び。特技はマジックと掃除。
20年前、長女を授かったことを機に退職して専業主夫になりました。小さな赤ちゃんの顔を見た瞬間に仕事よりも子育てをしたいと思ったからです。当時は、可愛い娘との幸せな生活を想像していましたが、家庭に入り社会との接点が減る中で、いつ何が起きるかわからない赤ちゃんの世話を続けることには予想外のしんどさがありました。「子育てを甘く見てごめんなさい」と感じたのを覚えています。
結局、専業主夫は6か月でリタイア。長女が1歳になると同時に保育園のお世話になり私はアルバイトに出ました。アルバイトと家事育児をしながら保育士資格を取得したのち、男性の子育てを応援するNPOの理事長や小規模保育園の園長を経験し、現在はマジックパパの代表としてパパ向けの子育て講座を中心に活動しています。
男性が子育てに関わるためには周囲の環境も重要です。育児休業を取得するにあたり、職場やパートナー、祖父母など、周りの理解を得るためにたくさんの調整事項があることでしょう。
しかし、どんな条件下でも私は、多様な大人が子どもの育ちに関わる方がいいと考えています。その理由は子どもの選択肢が増えるから。子どもは色々な人をお手本として育ちます。乳幼児期に主にママひとりのお世話を受けるだけでなく、ママやパパ、そして、様々な人たちからそれぞれ違う刺激を受けて育つほうが、より子どもの社会性が育ちやすいと考えます。シングルのご家庭であっても独りで頑張りすぎず、遠慮なく周りの助力を得ればいいと思います。
子育てにおいて大切なことの一つに子どもとの信頼関係があります。乳児期の子どもが信頼するのは自分を安心させてくれる存在です。子どもを安心させる一番わかりやすい方法は「繰り返し」。ミルクをあげる、おむつを替えるなどのお世話。抱っこしてあやす、絵本を読み聞かせるなどの遊び。子どもが期待することを繰り返し続けることで、目の前の大人への信頼をだんだんと強めていきます。
そうして安心の基盤ができると、次に子どもは刺激を求めるようになります。新しいおもちゃ、新しい公園、新しい友達。遊びの中での成功体験と失敗経験を繰り返すことで、子どもは自身で成長していきます。子どもが安心して失敗できる環境を作ることが大切です。
思春期になると子どもは大人に反発するようになります。社会的にやってはいけないことをしてしまうこともあるでしょう。その時に発揮されるのが乳幼児期から築いてきた子どもとの信頼関係です。信頼していない大人の言うことは耳に入りませんが、信頼しているパパの言うことには耳を傾けてくれるかもしれません。
20年前に比べると子育てに積極的な男性は遥かに増えました。それと同時に子育てへの考え方や選択肢も多様になり、それに戸惑う男性も増えています。職場の上司や祖父などの立場で子育てをサポートしてくださっている皆様の存在は心強いですし、現在子育て真っ最中のパパの皆さんには頭が下がります。
人生を楽しんでいる大人が多い社会は子どもにとっても幸せな社会です。笑ろてるパパがええやん!
発行:大阪市市民局ダイバーシティ推進室男女共同参画課 編集:大阪市立男女共同参画センター中央館指定管理者:大阪市男女共同参画推進事業体 (代表者:(一財)大阪男女いきいき財団) クレオ大阪ホームページ