「No one left behind 誰一人取り残さない」というSDGsの理念を聞いたときに、私はまず疑問が湧き上がりました。そこにLGBTなどの性的マイノリティのことは含んでいるのだろうか、と。日本国憲法は、第十四条で「法の下の平等」を明記しています。それなのに、学校や職場で差別的言動は日常的にあり、同性パートナーと結婚することもできません。世界人権宣言には、第一条にこう書いてあります。「すべての人間は、生れながらにして自由であり、かつ、尊厳と権利とについて平等である。」しかし、LGBTは世界で迫害され、死刑などで処罰される国も沢山あります。2019年に大阪で開催されたG20でも、同性愛が犯罪である国が含まれていましたが、政府間の議題になりませんでした。様々な宣言から除外され続けてきた身として、疑いの目をむけてしまうのは止むを得ないことでしょう。 しかし、SDGsを実際に読んでみて、これは「使える」と感じました。SDGsは、一人ひとりがそうであって欲しい状態を描いているからです。国家間や国の法制度では守られていない私たちも、SDGsなら、すべての目標に、当然、含まれると読んで、尊厳と権利の獲得に向けて動くことができます。 例えば、日本のLGBTの社会的課題は、以下のように、SDGsの目標に沿って説明することができます。