生野区にある「いくのコーライブズパーク(略称:いくのパーク)」は、旧大阪市立御幸森小学校の跡地に令和5(2023)年5月にオープンした多文化共生のまちづくり拠点。飲食店だけでなく、教育や福祉の機能も果たしています。いくのパークを管理運営するのは、「NPO法人IKUNO・多文化ふらっと」と「株式会社RETOWN」。お互いの持つ強み・ノウハウ・ネットワークを活かし、多文化共生と地域活性に取り組んでいます。今回は、生野の地でまちづくりを進めるNPO法人IKUNO・多文化ふらっとの代表理事の森本宮仁子(もりもとくにこ)さんにお話を伺いました。
(NPO法人IKUNO・多文化ふらっと 代表理事)聖和大学(現:関西学院大学) 教育学部 幼児教育学科卒業 大阪市立大学大学院(現:大阪公立大学) 創造都市研究科 修士課程修了(都市政策修士) 社会福祉法人 聖和共働福祉会 大阪聖和保育園に保育士として就職。主任保育士、施設長を経て現在、事務局長(業務執行理事) 関西学院短期大学、大阪人間科学大学等で非常勤講師も務める。 令和2(2020)年10月よりNPO法人 IKUNO・多文化ふらっと 代表理事
少子高齢化の影響で、生野区でも小学校の統廃合が進められ、御幸森小学校も令和3(2021)年に廃校となりました。森本さんは、性別、年代、国籍、障がいの有無を問わず様々な人の居場所を作りたいと思い、食を通じたまちづくりに取り組む会社と協力して小学校跡地での多文化共生のまちづくりに参画されています。
生野区民の5人に1人は在日韓国・朝鮮人をはじめとした外国人です。現在では約80か国にルーツを持つ人々が暮らしており、その比率は全国自治体の中でもトップ。多国籍・多文化共生のまちづくりが急務である中、いくのパークでは、子どもたちの学習支援やこども食堂、図書室などの運営、また、気軽に参加できるイベントの開催に取り組んでおられます。
「地域の人にも共感してもらい、さまざまに関わってもらいたいと考えていますが、その中に一歩入ってもらうことが一番難しいと感じている」とのこと。「誰もが安心していられるまちの居場所ということを地域の人に知ってもらい、少しずつでもその役割を果たしていきたい」と、日々試行錯誤しながら励んでおられます。
森本さんがまちづくりに取り組みたいと思ったきっかけは、保育士としての経験にあるとのことです。生野区は在日韓国・朝鮮人が多いまちですが、森本さんが初めて受け持ったクラスも8割程が在日韓国・朝鮮人でした。子どもたちに自分のルーツに誇りを持ってほしい、また、すぐそばに自分と違うルーツの仲間がいることを知ってほしいという思いで保育に韓国の絵本や手遊びを取り入れることからはじめられました。お互いを知り、共に生きるための「民族保育」を現在も進めておられます。
保育を続けていると、少子化問題、様々な国籍やルーツの子どもたちが増えていることなど、その時代ならではの“課題”に出会います。多様な人が手を取り合って一緒に生きていこうと思える場所が必要との考えから、いくのパークを、しんどい、つらいと感じている人もほっとできる場所にしたいと活動しておられます。「今子どもたちやまちに必要なものは何だろう?」と考えると、次にすべき事柄が思い浮かび、“課題”が次の活動を呼んでくるとのこと。「大変だけれど、楽しくて辞められない」と笑顔で話してくださいました。
森本さんに、これからの目標について尋ねました。「多様なルーツやセクシュアリティなど、人は一人ひとり違うことが当たり前で、違うということは豊かなこと。だからこそ、それが一緒に生きていく意味になる」と発信を続けていきたいとのことです。「あなたはあなたのままでいい」と認め合える地域にしたいと話す森本さんの姿は優しくしなやかで、これからの生野区はますますあたたかい地域になっていくと感じるインタビューでした。
トーク&交流会 「ごきげんでいられる地域での場づくりのはじめ方〜いくのパークの事例から〜」
9/19(金)19:00~20:30地域における居場所づくりの意義と醍醐味、活動の広げ方について話を伺います。紙面に乗り切らなかったお話を深掘りし、後半には交流会も実施します。
会場:クレオ大阪中央講師:森本宮仁子さん(NPO法人IKUNO・多文化ふらっと 代表理事)定員:30名(申込先着順)対象:テーマに関心のある女性
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発行:大阪市市民局ダイバーシティ推進室男女共同参画課 編集:大阪市立男女共同参画センター中央館指定管理者:大阪市男女共同参画推進事業体 (代表者:(一財)大阪男女いきいき財団) クレオ大阪ホームページ