今回のセミナーは大きく2部に分けて開かれました。
前半は大阪市立大学の柏木先生による講義で、市民活動を通じて人生を豊かにすることについてお話しいただきました。
最初に人生の豊かさという観点から、人々の満足度や豊かさに関する意識や価値観の変化をデータとともに説明していただきました。一番顕著な変化は、1970年代と比べ豊かさを物の豊かさに求める人の割合が減少するとともに、心の豊かさを重視する人の割合が増えている点です。
この背景には高度経済成長やバブル崩壊などによる経済状況の変化があります。
特に1980年代から物の豊かさを追求する人より、心の豊かさを重視しよりよく生きることを意識する人が増えていると指摘されました。この傾向を踏まえて、心身の健康に良い影響を及ぼすと報告されている市民活動を、人々の生活を豊かにする選択肢の一つとして紹介されました。
また、今後は社会の役に立ちたいという動機よりも、個人の心身の健康や自己の成長などの利己的な理由による参加を高めていくべきだと話されました。
以上のように、物質的な側面よりも非物質的な側面から個人の生活を豊かにするという点で、市民活動への参加が担う役割は大きいと考えられます。
セミナーの後半は前半の講義形式とは打って変わり、参加型のグループワークをとおして参加者の生活における不満について女性の視点から考えました。
アイスブレイクを挟んで5、6人のグループに分かれた後、女性でよかったと思う点、女性であるという理由で不満に感じる点を考えグループ内で共有しました。
私のグループでは参加者の年代が分かれていたこともあり、興味深く他の方の意見に耳を傾けておられました。
よかった点と不満な点の両方で妊娠・出産に関する意見が出たほか、参加者の発言から女性の社会的地位や会社における待遇など、時代における変化が見られました。
妊娠・出産に関しては女性の特権であるという意見が出た一方で、出産後の体調不良についての発言もありました。
50代の女性からは就職した当時会社における女性の立場が低く、不満に思っていた点が挙げられましたが、30代の女性からは会社での待遇に不満はなくむしろ女性の管理職が多いという意見がでました。
さらに結婚に関する意識も変化しており、50代以上の年代の女性からは結婚適齢に関して“クリスマスケーキ(25歳までに結婚しなければいけないというプレッシャー)”という発言がありましたが、今では40代以上の結婚も当たり前であるという認識が参加者にありました。
年代による差異はあるものの、共通する不満や課題も見つかり、それらを解決するために地域の女性がともに参加する市民活動の役割に可能性を感じました。