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【財団ニュースvol.43】カルチャーの処方箋㊤

2021.11.25 REPORT

大阪市男女いきいき財団 vol.43㊤


「ニューノーマル時代」と言われる今だからこそ、立ち止まって考えたい。
ジェンダーや地域コミュニティ、働き方、自分との向きあい方…。
さまざまなフィールドで活躍する方々が、おすすめの小説やマンガ、映画を紹介します。
あなたの心に効くカルチャー、見つけてください。

◆なぜ自分の体が差別の理由に?文学から考える「生理の貧困」
 細見  三英子さん(ジャーナリスト)

◆身体の不調や葛藤… 相手を知ろうとすることは大切にすること
 上原  沙希さん(フリーランス助産師)

◆マイノリティの子どもたちに勇気をくれる 戦うプリンセス
 村木  真紀さん(認定NPO法人 虹色ダイバーシティ代表)

◆排除ではなく包摂を 制度の狭間にある人に寄り添う
 山納 洋さん
(大阪ガス株式会社ネットワークカンパニー都市魅力研究室長/common cafeプロデューサー)

◆悩み、迷いながら見つける 自分らしい働き方・生き方
 小田  幸子さん(社会保険労務士法人ティムス代表社員/社会保険労務士)

◆幸せを見つけるヒント 自分からアクションを起こそう
 松村  湖生さん(関西大学中等部・高等部教諭)


【いきいき財団 Topics】
1.コロナ禍で不安や孤独を感じる女性をサポート - 大阪市 コロナ禍における困難・課題を抱える女性に対する支援事業-
2.人と組織の成長をお手伝い - 企業会員サービス「Work support Plus」-
3.音楽で心温まるひとときを -クリスマス音楽パーティへようこそ!-

 
◆おまけ:つくろう未来のカタチ
特集にちなんで、財団職員が、それぞれが着目するSDGsの目標にちなんだ本を紹介します。




なぜ自分の体が差別の理由に? 文学から考える「生理の貧困」


紹介するのは…『夜明け前』『武家の女性』など

細見  三英子さん(ジャーナリスト)


産経新聞社記者としてナイロビ国連婦人会議や北京女性会議などを取材。
フリーに転向後も、女性や家族、教育問題などを中心に手がける。
大阪市男女共同参画審議会会長、大阪市政改革本部専門委員などを歴任。





生理用品が買えなくて学校へ行けない少女たちがいる―。コロナ禍で立ち現れた「生理の貧困」という言葉に衝撃を受けました。その言葉は長い間タブーでした。昔はどうしていたのでしょう。


最古の『古事記』には、スサノオ尊が美夜受比売を訪ねたけれど、「襲(おすひ=衣)の裾に月たちにけり」と、立ち去ったとあります。
平安時代『蜻蛉日記』の作者・道綱母は「不浄ゆえ」と、たびたび京や大津の山寺にこもって憂さを晴らします。
明治維新を描いた藤村の『夜明け前』には、馬籠本陣のおかみは代々、その時が来ると裏の小屋で煮炊き寝泊まりして過ごす、と書かれています。
初代の女性労働局長を務めた山川菊栄も、著作『武家の女性』では生理については言及していません。

アンネナプキンが1961(昭和36)年に発売され、私たちはずいぶん解放されますが、この数千年に及ぶ母たちの人生に思いを致すと、なんだか胸が熱くなります。

自分の体、自分の中の自然であるものが、貧困や差別の理由になるのはおかしい。この新しい言葉を、みんなでおおいに論じたいものです。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

『夜明け前』 第一部(上・下)第二部(上・下)
島崎 藤村 /著 新潮社 /刊

「木曾路はすべて山の中である」の書き出しで知られる歴史小説。著者の父をモデルに、幕末から明治の激動の時代を描く。

『武家の女性』 
山川 菊栄 /著 岩波書店 /刊

女性運動家の著者の随筆。幕末の武家で育った母から聞き取り、当時の女性や子どもたちの生活を映し出している。



身体の不調や葛藤… 相手を知ろうとすることは大切にすること


紹介するのは…『生理ちゃん』

上原  沙希さん(フリーランス助産師)


助産師として、産婦人科勤務と並行しフリーランス助産師として、教育活動やママ向けコラムの発信などを行う。
クレオ大阪中央の10、20代の相談室「女の子のためのクレオ保健室」でアドバイザーを務める。





助産師として性教育をする際の生理の話は、必須項目のひとつ。生理って一言で言うと簡単に聞こえますが、実は生理痛や不妊やPMS、女性同士でも理解し合えない現実や社会問題など多くの問題を孕んでいます。
例えば、生理痛の辛さって、自分以外誰にもわかってもらえないんです。人によって症状も重さも違う。これは性教育をするときにどう伝えればいいか悩むところでもありました。

そんなときに出会ったのが、小山健さんの『生理ちゃん』というマンガです。
生理という現象を擬人化することで、こんなにわかりやすくかつキャッチーに、生理とはどういうものなのか、生理が来るってどんなダメージがあるのかを伝えることができるのかと大変感銘を受けました。


しかも、作者は男性というところにも驚きました。男性の性欲を表した「性欲くん」というキャラも登場します。性別によらず、

心身ともに不調や葛藤がある事に気づかされます。また、それには理由があって、お互いに知ろうとすることはお互いを大切にすることなのだと伝わる作品だと思います。
思春期の子だけでなく大人にも、そして男女関係なく読んでほしいおすすめの作品です。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

『生理ちゃん』 1~4巻
小山 健 /著 KADOKAWA /刊

「生理痛」「イライラ」「頭痛」「PMS」…。そんな女性の悩みを擬人化したキャラクター「生理ちゃん」が活躍するマンガシリーズ。2019年には二階堂ふみ主演で実写映画化された。


マイノリティの子どもたちに勇気をくれる 戦うプリンセス


紹介するのは…『ラーヤと龍の王国』

村木  真紀さん(認定NPO法人 虹色ダイバーシティ代表)


外資系コンサルティング会社などを経て現職。
LGBTQ当事者としての実感と、コンサルタントとしての経験を活かし、LGBTQに関する調査研究、社会教育活動を行う。





子どもの頃は、ディズニーのプリンセスが苦手でした。自分がレズビアンだという自覚があったわけではないのですが、ドレスを着て、素敵な王子様と舞踏会に行く、という設定にまったく興味が持てず、女の子ならみんな好きなはずと大人たちが人形をくれたりするのにも辟易していたからです。

しかし、ディズニー社の中で経営層やクリエイターの多様性推進が進んでいると知って、新作『ラーヤと龍の王国』を観てみたら、もう冒頭から引き込まれました。


荒野をダンゴムシのバイクに乗って疾走する、アジア系の、人を信じられなくなった孤独なプリンセス、それが主人公のラーヤでした。父親から教わったのは礼儀作法ではなく、武術。王子様もドレスも歌も出てきません。
戦う相手はもう一人のプリンセスで、アクションがとにかくかっこいい!

LGBTの子どもたちは周囲にロールモデルを見出しにくいと言われています。その中で、家族で観るようなメジャーな作品に自分とよく似た姿を見つけることができるのは、とても勇気づけられるはずです。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

『ラーヤと龍の王国』 
ウォルト・ディズニー・ピクチャーズ
ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオ /製作

2021年に公開されたファンタジーアニメ。
かつて龍が守った王国に平和を取り戻そうと、少女・ラーヤが冒険の旅に出る。


排除ではなく包摂を 制度の狭間にある人に寄り添う


紹介するのは…『セーフティネット コミュニティソーシャルワーカーの現場』


山納 洋さん
(大阪ガス株式会社ネットワークカンパニー都市魅力研究室長/
common cafeプロデューサー)

大阪ガスで、都市開発や地域活性化に携わりながら、中崎町の日替わり店主カフェ「common cafe」や、芦屋ロックガーデンのシェアカフェ「六甲山カフェ」などをプロデュースしている。


豊中市社会福祉協議会の勝部麗子さんは、コミュニティソーシャルワーカーとして、孤独死、ごみ屋敷、ひきこもり、生活困窮、女性や子どもの貧困、ホームレス、若年性認知症など、地域の生活の中にある課題に取り組んでおられます。


課題を抱えている当事者の多くは、経済的な貧困とともに、人間関係の貧困、つまり、孤立し、誰にも相談できない状態に置かれていて、そのために心を閉ざしてしまっていることも多いそうです。
また彼らが抱える課題に寄り添う制度がないために、役所の担当部署に相談しても解決につながらないことも多いのだと。


勝部さんは、そうした当事者の課題に向かい合い、新たな解決の仕組みを地域に生み出しています。地域にいる“困った人”は、“困った問題を抱えている人”“困った人に文句を言う人”は、“関心を持っている人”そう捉えることで、排除ではなく包摂のための道筋を探っていかれるそうです。
同協議会が発行するマンガ『セーフティネット』は、勝部さんたちの取り組みをとても分かりやすく紹介しています。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

『セーフティネット
コミュニティソーシャルワーカーの現場』1~5巻
ポリン・くろねこ・すみっこ /マンガ
豊中市社会福祉協議会 /原作・文
ブリコラージュ /刊

地域福祉に奔走するコミュニティソーシャルワーカーの支援の展開について、マンガと文章で紹介。
書籍の収益は全額ひきこもりの若者の支援に活用されている。


財団ニュース後編はこちらから

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【特集】カルチャーの処方箋


◆悩み、迷いながら見つける 自分らしい働き方・生き方
 小田  幸子さん(社会保険労務士法人ティムス代表社員/社会保険労務士

◆幸せを見つけるヒント 自分からアクションを起こそう
 松村  湖生さん関西大学中等部・高等部教諭


【いきいき財団 Topics】
1.コロナ禍で不安や孤独を感じる女性をサポート - 大阪市 コロナ禍における困難・課題を抱える女性に対する支援事業-
2.人と組織の成長をお手伝い - 企業会員サービス「Work support Plus」-
3.音楽で心温まるひとときを -クリスマス音楽パーティへようこそ!-

 
◆おまけ:つくろう未来のカタチ
特集にちなんで、財団職員が、それぞれが着目するSDGsの目標にちなんだ本を紹介します。


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