三浦綾子さんの小説『母』を原作とした朗読劇『マザー』は、
『蟹工船』の著者である小林多喜二の母「セキ」が、多喜二の思い出を語っていきます。
出演者:友田尋子、田村ツトム、風早優、柄谷吾史、楓ゆき、平口泰司、堤裕子、
鎌田圭司、ギター/新涼平
友田 尋子
人権を確保する憲法としての三原則は「国民主権」「平和主義」「基本的人権の尊重」。
人権が守られていなかったあの頃の日本で起こった小林多喜二虐殺事件を省察し、作家三浦綾子さんは平和と愛をテーマに母を書き上げた。人が人の命を奪ってはならない、社会が人の暮らしを奪ってはならない、その大原則を守り、愛と平和を実現するためのメッセージを三浦綾子さんの力を借りて朗読劇マザーを役者8人と音楽1人が奏で、演じさせていただきました。
知らないことは罪、事実を知り自分たちの戦争責任の果たし方、平和問題には、女性の声をと平塚らいてうは語ったが、
作家三浦綾子さんも「銃口」と「母」の二つの作品を遺書とし、本当のことを知らず戦争に反対できなかった、無知であった自身への犯罪意識を拭えず、その思いに作品を完成させたと言われています。
その「母」を、朗読劇マザーをご観劇くださいましたことに感謝です。公演の実現に尽力くださいました財団の方々に感謝です。
⭐️被害者遺族の喪失に寄り添う社会を目指して
⭐️ジェンダー平等に向けて
⭐️慈愛
⭐️命の畏敬
それぞれの今に寄り添うように、知らないという罪を背負わないために、マザー公演を開催できたこと、誠にありがとうございます。
この旅はこれからも続けていきます。応援をよろしくお願いします。
田村 ツトム
マザー公演では、スタッフさんと共演者の皆さんの一人一人の助け合う気持ちと支え合う心と、プロフェッショナル集団の向上心の凄さも再確認させてもらえた公演でした。
今回の公演で得た人と人との繋がりを大切にして行きたいと思います。
セキさんの、家族や周りの人からもらった多くの愛情と同じように、多くの気持ちをもらいました。
最後に、ご観劇下さったお客様、支えて下さったスタッフの皆様、共演させて頂いたキャストの皆様、本当にありがとうございました!
風早 優
私の父は11人兄弟。母は9人兄弟。おかげで、分からない親戚がたくさんいます。
口で言うのは簡単ですが、子を宿しながらの子育て、どれほど大変なもんか想像もつきません。
そうして、大変な思いをしながら育てた子を、理不尽に殺される。
母の強さはもちろんですがそれでも『生きていく』という強いメッセージの込められたこのマザーという作品。
多喜二を取り巻く沢山の人が多喜二の死によって、沢山の変化、崩壊、決意、影響は人それぞれ。
それだけはSNSが蔓延る世の中になっても変わらないものかもしれません。
舞台の上から何を伝えたいか、どうすれば伝わるのか、永遠の課題ではありますが沢山の役で生かせて貰いました。
ありがとうございました。
柄谷 吾史
ご覧になられた皆様、ご来場ありがとうございました。僕はこの『マザー』公演を終えて、人はみんな前に進んでいるんだなぁと改めて思いました。立ち止まる事はあっても、後退せずに少しでも前進していく。その先に見えてくるものがある。だからこそ、1分1秒を大切に生きようと思いました。
人生は長い様で短く儚いものだから。今回の座組は初めましての方が多かったので、とても新鮮で楽しい時間を過ごす事ができました。
キャスト、スタッフ、そして観劇してくださった皆様。本当にありがとうございました。またどこかでお会いできる日を楽しみにしております。
楓 ゆき
「マザー」の世界にいて、虚しさ、悔しさ、悲しさ…そんな感情を多く感じました。
ですが、『人の"心"が通う』その幸福感も沢山体感することが出来ました。
これから生きていく上で、大切にしていきたいと思った感覚です。
ご観劇下さいました皆様の心に、何かじんわりと残るものがありましたら幸いです。
平口 泰司
芦屋ルナホールでの公演とクレオ大阪東での公演で、ひとまず区切りがつきましたが、今後お声が掛かれば動けるようにしておきたいと思っております。
ルナホールとクレオ大阪東との公演の間が少し空いてましたが、全体的にレベルアップしているように感じました
食べ物でもそうですが、役を演じる事も、ある程度熟成とでも言うのでしょうか、感じ方や解釈などが時間をおく事で新たな発見に繋がる事もあるようですね。
寂しいですが、一旦この座組みと離れてしまいますが、再び集結した時に更なるレベルアップを期待しつつ熟成期間に入りたいと思います。
堤 裕子
朗読劇といっても、お芝居に近い「読み語り」スタイルでお届けしました。
お客様の想像力もお借りしながらの本番は、お稽古の時には味わえない空気感が、演者にも伝わってきます。
理不尽で残酷な部分もありますが、家族や大切な人など、誰かを想ってのセリフがたくさんあり、演じながらもあたたかい気持ちが込み上げてきました。
三浦綾子さんのお話に、一緒に優しく寄り添いながら観ていただきありがとうございました。
鎌田 圭司
会場のクレオ東ホールは、芝居をするにはちょうどいいサイズの劇場でした。
お客様の笑い声やすすり泣く声がはっきりと聞こえてきて、観客の方々と一つの空間を共有できたと感じました。演出する上では、明るくて楽しい小林家を創り出すことに重点を置きました。
その方が、身内の死に直面した時の哀しみ、人と人との支えあう姿を表現できると思ったからです。
家族愛、人間愛をテーマにした朗読劇『マザー』を、楽しんでいただけましたなら、幸いです。
新 涼平
僕は結婚もしてないし、子供も居ませんが、家族や大切な人人への『愛』は知っています。
また、どんなに望んで願って祈っても、叶わない現実がある事も痛いほど知っています。
ご覧になられた方も同じだからこそ、これだけ共感を戴いているのだと思います。
僕は過去、この作品ほど再演を願った舞台はありません。
またこれほどお客様から再演熱望の声を強く戴いている作品もありません。
朗読劇と銘打たれていますが、鎌田圭司氏が9年間作り上げてきた「観る朗読、魅せる朗読」は、朗読を域を超えており、
演者にも経験と実力を兼ね備えた素敵なメンバーが集まりました。
「作品」「演出」「演者」、すべてが揃った素晴らしい空間になったと感じます。
贔屓目なしに、何度も再演を重ね多くの方に届けたい作品です。
携われた事に心から感謝しています。