『大学生とツナグ男女共同参画プロジェクト』
メイキングストーリー
1.2022年9月21日 キックオフミーティング
プロジェクトメンバーの初顔合わせ。
プロジェクトの概要やタスク、スケジュールなどについて話し合いました。
今回のプロジェクトのミッションは『若い世代にむけた啓発』。
・大学生にとっての身近な男女共同参画って何だろう?
・自分の中のジェンダーバイアスに気づくきっかけって何だろう?
・パネルや動画で、どんな風に表現したら伝わりやすいのか?
どんな啓発パネルと啓発動画ができるのか、お楽しみに!
令和4年度大阪市男女共同参画普及啓発事業についてはこちらから
2.2022年10月8日(土)
ジェンダーワークショップ #0 ブレインストーミング
啓発パネル・動画の作成にむけて、大阪成蹊大学の学生の男女共同参画についてのリアルな意見・考え方から、
若い世代への『伝わりやすさ』『わかりやすさ』のヒントを集めるワークショップを行いました。
不要不急の外出自粛やテレワーク、ソーシャルディスタンス、マスクなど、
性別問わず、好む好まざるを問わず、生活スタイルや行動様式が変わったWithコロナの時代。
生活スタイルの変化は、オンラインの普及・促進により時間や場所にとらわれない働き方が拡がる一方で、
自宅で過ごす時間が長くなることで、夫婦関係・親子関係でのストレスや閉塞感も。
人生100年時代を迎え、単独世帯が増加し、子どものいる世帯の減少、
家族や結婚についての考え方が多様化している社会の現状を踏まえ、ワークショップのテーマは3つ。
『コロナ禍におけるDV・児童虐待』
『多様な家族のあり方』
『家事・育児・介護など家族のケアの分担』
それぞれのテーマについて、活発な意見交換があり、
ラストワークでは、ワークショップの中で気づいた自分の中のアンコンシャス・バイアスを書き出してみました。
新型コロナウィルスの初感染が確認された令和2年以降、DVや児童虐待の相談件数は増加しました。
コロナ下の生活不安やストレスなどにより女性の自殺者も増加し、
悩みを抱えていても、なかなか相談につながっていない現状があります。
「なぜ相談できないのか、どうすれば相談につながりやすくなるか」について考えました。
ワークでの意見
「大ごとにしたくないし、まわりに心配かけたくないから、相談をためらうかも‥」
「誰かに話して、もっとひどい状況になったらと思うと怖いかもしれない」
「どのようなことが暴力かわからなかったら、自分が暴力を受けていることがわからないから、DVや児童虐待がどんなものなのか知ることが大事だと思う」
「暴力の中にいる本人は、暴力だと思っていないこともあるので、まわりが気づいてあげて、相談できることを教えてあげたらよいのでは?」
「『相談窓口』は固いイメージがあるので、もっと気軽にアクセスしようと思える呼び名があれば相談しやすいかも」
DVや児童虐待などの暴力について知ることが、暴力の被害者にも加害者にもならず、
傍観者にもならないこと、相談するなどの行動につながりやすくなることを改めて実感しました。
年代・性別を問わず一人暮らしの単独世帯は増加を続け、3世代世帯や子どものいる世帯は減少していく中、
結婚や家族についての考え方や価値観も多様化しています。
家族や結婚についてのアンコンシャス・バイアスや多様な家族のあり方について考えてみました。
『30代男性』と聞いたときのイメージは?
仕事で忙しい、仕事中心の生活、
乳幼児の子どもがいる、バリバリ働いている など
『男性』を『女性』に変えるとそのイメージって変わる?
30代女性は子育てしているイメージ、未就学児の子どもがいる、子育てしながら働いている など
30代男性といえば「仕事」、30代女性といえば「子育て」のイメージが強いことがわかりました。
子どものいる世帯が減少して、子育てをしている人の数も減っている現状にもかかわらず、
男性は働き女性は家を守る、子どもを産んで一人前、子育てや介護は女性がすべきといった
ジェンダーバイアスに気づく機会となりました。
グループごとにできるだけ多くの家族のカタチを考えるワークでは、
一番多かったところで77パターンの家族のカタチを考えることができました。
ワークの中で、「家族のメンバーには、ペットもいるし、これからはAIなどのロボットも家族と考えるようになるのでは?」
「離れて暮らす家族もあれば、一緒に暮らす家族もある」「そもそも家族ってなんだろう…?」などの意見がありました。
いくつパターンを考えて、そのパターンをどんな風に分類してみたのかについて、
「血がつながっている」、「血縁関係があってもなくても一緒に暮らしている」、
「お互いに家族と思っていれば家族」などの発表があり、多様な家族のカタチを実感しました。
「男性は外で働き、女性が家の中で家事を支えるべき」という考え方に反対する人の割合は増えていますが、
共働き世帯の妻と夫の家事・育児に費やす時間の差は大きく、
家事・育児・介護などの負担は女性に偏りがちな現状があります。
掃除、洗濯、食事の準備・後片付け、ゴミ出し、子どもの世話など、
家での日常生活のためのいろいろなことの役割分担についてどう思っているのか、
具体的な場面をイメージして考えてみました。
『自宅でくつろいでいるときに赤ちゃんの泣き声が聞こえてきて、号泣し続けていたら、どう思う?』
「赤ちゃん、大丈夫かな…?」「赤ちゃん、どうしたんだろう‥?」
「なんで、だれも泣き止ませないの?」「お母さんいないのかな?」
「もし、毎日続いたら、警察とかに連絡したほうがいいのかな…。」
などの意見が出ました。
『トイレにいきたくて、トイレにかけこんだら、トイレットペーパーがありませんでした。予備のペーパーも見当たらないとき、どう思う?』
「なんでトイレットペーパーがないの?!」「最後に使ったの誰??」
「トイレに入る前に確認しなかった自分を反省する…」
「何でちゃんと補充してくれてないのかとイラっとする」
などの意見がありました。
ふたつの場面を想像してみたとき、もし、誰かに対して「なんでしないの? してくれてないの?」とイラっとしたのなら、
子どもの世話やトイレットペーパーの補充は、その誰かが「してくれること」「やるべきこと」って思っているのかもしれません。
ひとり暮らしなら、自分でするけれど、家族と暮らしていると、
無意識に自分以外の家族がしてくれること、やるべきことだと無意識に思っていることもあります。
自分はどう思っているのか、どう感じているのか、確認してみました。
「家事・育児・介護などの家庭内無償労働は女性が担うもの」といったアンコンシャス・バイアスから、
有職・無職問わず家庭内の女性が多くの時間を家族のケアに費やしています。
人生や家庭のあり方が多様化する中、晩婚化により育児と介護を同時に担うダブルケアや、
子どもが日常的に家族の世話を担うヤングケアラーなどの課題もあります。
家族のケアについての自分の中のアンコンシャス・バイアスに気づき、
家族の中の特定の人に、家事や育児、介護の負担が偏らない役割分担の大切さを考える機会となりました。
ラストワークは『今日のワークショップの中で気づいた自分の中のアンコンシャス・バイアス』。
「家族のカタチはたくさんあって、人それぞれに考え方が違うということを改めて実感しました。」
「DVについて相談窓口はたくさんあるのに、相談しない人も多く、もっとDVについて知識をつけたいと思いました。」
「固定概念というのはなくならないのだなと思いました。」
「トイレットペーパーの補充は母がするものだと思っていた。最後に気づいた人がすればよいと思った。」
「30代男性は少し肥満というイメージがあり、自分の中に性別や年齢でネガティブな印象があることがわかった。」
「女性や男性に「30代」「シングル」などの言葉がつくだけで、ネガティブなことを想像してしまう自分に気づきました。」
「30代「男性」やシングル「女性」といった言葉に対して女性のほうがネガティブな想像をしやすいことに気づいた。女性と男性が反対になるだけで印象が変わってしまうのも、自分の中にアンコンシャス・バイアスがあるからだと気づかされた。」
「DVのワークでは、DVや児童虐待について知識があまりないことや、暴力の基準は人によってバラバラなのではなどの意見があり、新たな気づきがありました。」
「血縁以外でも、家族のカタチがたくさんあるんだと知ることができました。」
「他人には思わなくても、自分に対しては「男だからこう」のようなイメージがあることに気づきました。意図しない自分のイメージに驚かされました。結局、マジ男女平等!」
「家族の中で、日々の買い物や料理は母、母と私など「女性」が担当することが多いと改めて気づいた。スイーツ男子や女子力などの言葉が使われるのは普通だと思っていたけど、男女を変えると使われない言葉になることに気づいた。」
「バイアスは思い込みからでてくるので、こういう機会にしっかりと考えを発表し合うのはすごく良いと思いました。」
「家のことは母親がやってくれていて、それが無意識で当たり前になっていることに気づくことができました。30代男性は既婚・未婚どちらもイメージできたのに、30代女性は結婚して子どもがいるイメージが強く、自分の中で女性は結婚して子供を産むことがあたりまえのイメージになっていることに気づきました。」
「自分の中に、少なからず女性は家事・育児をするものというバイアスがあることに気づきました。」
「普段、生活する中で、性別に対する偏見がないようにと思って過ごしていますが、今回のワークショップを通して、家事・育児は母親がすることなどの偏見が自分の中にありました。考え方を完全に変えることが難しくても、10人いれば10通り、20人いれば20通りの考え方があり、様々な考え方があることも偏見をなくすためにも1つの意見だということに気づきました。」
「子どものいる世帯数が減少しているのに、30代女性ときくと育児をしている女性を想像した。個人差があるのに、子どもの世話は女性の方が得意だという思い込みや、シングル男性は婚活、シングル女性はひとりで生きていけるイメージなど、自分の中には性別によって偏ったイメージがあったことに気づいた。」
3つのワークを通して、たくさんの学びを多くの気づきにつなげた学生のみなさん。
今日の気づきを、これからの作品・キャリアに活かしてもらえたら幸いです。
今日のワークショップの内容は、若い世代に『伝わりやすい』『わかりやすい』啓発パネル・動画の作成に活かしていきます!
事前の打ち合わせからご協力いただいた教職員のみなさま、ご参加いただいたみなさま、
ありがとうございました!
3.2022年10月25日(火)
啓発パネルについての打ち合わせ
パネルの表現やイラストについての打ち合わせ。
どんなイラストがわかりやすいのか、どんな表現だとみてもらえるか、話し合いました。
DVの暴力の種類をどんな風にイラストで表現すればわかりやすいのか、
イラストのタッチはどのようにするか、課題は盛りだくさんです。
プロジェクトメンバー
大阪成蹊大学 芸術学部 造形芸術学科 ビジュアルデザインコース
佐藤彰人さん、佐藤銀さん、豊嶋恵さん