大阪市男女いきいき財団が2022年度に取り組んだ事業をピックアップしてご紹介します!
私たち女性が辞めさせられない職場をつくろう!
女性だからとチームに入れてもらえなかったり、妊娠を機に辞めさせられそうになったり。広告代理店や園芸店の仕事では、男性社会で働く苦しさを味わいました。さらに、東日本大震災を機に関東から兵庫県西宮市に拠点を移すと、これまでのキャリアが断たれて、うつ状態に。経済的に自立できず、自尊感情も低くなり思い悩む中、周りの女性たちも同様に、女性ならではの生きづらさ、働きづらさを感じていることがわかりました。
「私たちが辞めさせられない職場をつくろう!」と、立ち上げたのが、産前・産後の家事をサポートする団体「a little」です。家事や育児に追われる母親が自分の時間を取り戻すこともできるし、メンバー自身も家事の経験をキャリアに変えてエンパワーメントされます。さまざまな家庭と関わる中、気づいたのは、ひとり親家庭が置かれる状況の過酷さです。
離婚に至るまでの傷が癒えないまま子育てをしたり、傷つけられすぎて誰のことも信用できなかったり。日本の社会保障や制度は素晴らしいと思っていたけれど、親ひとりに抱え込ませるっておかしいんじゃないか。そんな思いから「a little」を創設メンバーに委ね、ひとり親家庭支援に特化した新団体「たねとしずく」を立ち上げました。
励ましの力で満ちたリーダーとしての自信
前の団体で思い描いていたことができなかった後悔や、自分のリーダーシップ性に対する自信のなさを、少しでも変えたいという思いから参加したJWLI Bootcamp。私以外の参加者も、自信満々…というわけではなく、今まさにこれから頑張ろうとする人たち。リーダーとして自分の団体をしっかり率いるものの、周りに弱音を吐けず不安も抱えている。そんな等身大の姿に共感し、不思議と連帯感が生まれたような気がします。
最終日のピッチの準備中、同じくひとり親支援事業を行う「シングルペアレント101」代表の田中志保さんに「どうして当事者ではないのに活動に取り組むの?」と聞かれました。
思い出したのは、幼い頃にひとりぼっちで公園に佇んだ記憶でした。親の離婚で地元を出て、二度と会えなくなってしまった友だち。環境が変わり、周囲との関係が途絶えてしまうことのつらさを、子どもながらに感じた初めての出来事でした。「陽子さんが関わる意味はそこにあったんだ!」と志保さんが納得してくれて、自分の原点を振り返るきっかけにもなりました。
講師も参加者も互いを称え合い、「シスターフッド」と「励まし」の力を実感する3日間。「あなたは新しい団体をつくる力があり、それを次の人に渡せるだけの力を持っている」。厚子さんの言葉で、「またイチから始めたらいいんだ」と自信を持って前を向くことができました。もう、自信過剰になってしまうほど(笑)
私は私のまま、団体の仲間たちと協力して活動していこう。そう思いを新たにすることができました。
助け合いの循環をつくり次の誰かを応援できるように
活動を通じて、落ち込んでいた人が元気な笑顔を見せてくれた時、これからも続けていかないと、と気が引き締まります。ひとり親の支援は「専門家でないと関われない」「接するのが難しい」と思われがちです。
でも、専門家しか携われなかったら、しんどい思いを抱える人は誰にも「助けて」と言えません。隣の誰かに「大丈夫?」と言ってあげられるような、助け合いの関係を市民同士で広げていければ、遠慮せずSOSを出せる人が増えるのではないかと思います。
今は、ひとり親家庭の子どもたちが読書を楽しみ、多様な視点を持つ大人や同世代の仲間と出会える居場所をつくろうと、準備を進めています。
つらい時を乗り越えた人が、次は誰かを応援してくれる。そんな循環をつくっていきたいです。