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【財団ニュースvol.46】シスターフッドで行こう!㊤

2023.03.08 PR

大阪市男女いきいき財団ニュース vol.46㊤シスターフッドで行こう!

JWLI Bootcamp 2022 Osaka開催レポート


 米国・ボストンを拠点に、女性や若者を支援するフィッシュファミリー財団のプログラム「JWLI Bootcamp」が2022年、日本の徳島と大阪に上陸! ボストンの4週間の女性リーダー研修のエッセンスを3日間に凝縮したプログラムが、大阪では、8月5日~7日の3日間、クレオ大阪中央で開催され、大阪市男女いきいき財団は共催団体として協力しました。
 大阪会場には、関西を中心に全国から12人が参加。社会福祉、防災、教育支援など、多彩な分野で道を切り開く女性たちが一同に会し、講師陣とのインタラクティブなワークショップを体験しました。(詳細はこちら)


 ※写真㊤:12月、ベンチャーカフェ東京(東京都港区)で聴衆を前に堂々とスピーチをする3人



原繭子さんのLife&Career Story



公認会計士業界で女性活躍推進活動に取り組む
原 繭子さん

日本公認会計士協会近畿会幹事 SDGs・ESG専門委員会長

自分に嘘はつけない 常に挑戦する

 30代前半の全ての時間を費やして挑んだ公認会計士の試験は、5年経っても手ごたえはなし。仕事を辞めて、実家で親の世話になりながら受験勉強する自分と、キャリアを積んで成長する同世代を比べ、落ち込む日々でした。このまま続けてよいのか迷いが生まれ、「ここで挑戦を辞めたら、残りの人生本当に後悔しない?」と自分の心に問いかけました。
 はっきりと聞こえたのは「あかん!自分に嘘はつけない!」という声。覚悟を決めて勉強に打ち込み、7度目の受験でようやく会計士としてスタート地点に立つことができました。合格発表の日は、うれしさよりも「もう受験しなくていいんだ」と放心状態だったのを覚えています。

 大手監査法人に就職したものの「女性」であり「37歳の新人」という立場は、当時は今以上にマイノリティ。早く一人前だと認めてもらえるよう仕事に打ち込みましたが、組織の解散や転籍など試練の連続でした。
 その後は自治体の監査委員事務局に入職。生活に困窮する市民の支援など、単純な損得では測れない公益について考える機会となり、社会を見る視野が広がりました。

 その頃から、日本公認会計士協会近畿会の女性会計士委員会で研修や企画を担当。2016年度からは委員長として、女性の会計士の働きやすさや活躍機会の創出に力を注ぎました。

尊敬できる仲間との出会い 話すことでほぐれる気持ち

 大学での建築専攻、飲食や店舗開発の仕事、7年間の受験生活…。さまざまな経験があるから今の私がいます。ただ、当時の会計士業界では、それがプラスに評価される場面はあまりありませんでした。
 だからいつも「自分のキャリアについて、どう思われるのだろう」と慎重になってしまうのですが、JWLI Bootcampでは、話すことで互いに気持ちをほぐすことができて、私の話に勇気づけられたという人もいて、安心感がありました。

 
 特に印象に残ったのは講師の栄子さんのお話。依存症に苦しむ女性の回復プログラムを運営するには、支援する側のメンタルケアも必要です。きっと想像以上に大変な取り組みで、多くの人は思いがあっても行動に移せないでしょう。まさに社会を変える人。衝撃を受けました。

 非営利団体や支援団体のトップの方が多く、最初は場違いではないかと参加を迷いましたが、私の立場からできることがあるとJWLIに認めてもらえたんだと思います。心から尊敬し、互いを応援できる仲間との出会いは宝物です。

多様な人が働ける社会づくりは母への恩返し


 そもそも、私のジェンダー平等への問題意識は母の実体験から培われました。祭りの神輿に乗ることができなかったり、成績が優秀でも男性より評価が低かったり。こうした悔しい思いを娘が味わうことがないように「女性も手に職をつけなさい」と育ててくれました。このことが、私の進路選択や公認会計士の資格取得にもつながりました。受験中、私の心をずっと支えてくれたのも母でした。

 
 ただ、これまでの経験から、ジェンダー平等は個人の努力だけでなく、国や企業も積極的に取り組まなければ難しいと感じます。JWLI Bootcampのピッチでも発表しましたが、企業の女性管理職の割合を男性と同等まで増やすのが私の目標。今年度から企業2社の社外取締役や監査役に就き、多様な社員が働きやすい職場づくりを実践するという新たな挑戦を始めました。私は転職で環境を変えましたが、同じ組織にいても生き方や価値観は変えられます。若い人が「働くって楽しい」と感じられるよう、社員の方と一緒に取り組みたいです。

 私の活動で少しでも社会を変えることができたら、他の人々のためだけでなく、母の経験が無駄にならないことになる。そう信じています。


財団ニュース vol.46

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